過去の事を忘れてしまったのは、強いクスリの副作用かもしれません。
私は次男の質問に順番に答えました。
「精神病院に入院したのは、病気で幻聴や幻覚がひどくなって、直すために入院したんだよ。」
「病院を退院してから、普通の中学校に行けなかったのは、まだ病気がしっかり直っていなかったから。子供への恐怖もあって大人数の中学校へは行く事ができなかったから。」
「支援学校の病院の分校に行ったのは、ハンディがあったり、配慮が必要な生徒について細かく対応してくれるから。自分のペースにあった授業もしてくれたでしょう。」
「障がい者入所施設で暮らすことになったのは、家で落ち着かない時は、施設の静かな場所で落ち着いて過ごせるようになったから。
週末は家に帰るし、住む場所が二か所もあると考えればすごい事だど思うよ。医者の先生とも相談して決めたんだよ。」
「思い出した?」
次男は何となく思い出したようでした。続いて
「勉強がしたいのだけども、施設の職員さんもあまり教えてくれないし、支援学校の先生も教えてくれないしどうしたら良い?」
新型コロナウイルスの為、施設に缶詰め状態だった次男は再三、施設の職員さんにも勉強についてお願いをしたそうです。
「施設には何十人も子供たちが利用しているから、中学校の授業みたいに一対一で勉強を教えることは難しいよ。」
「数名の職員さんで皆の服を選択したり、食事の準備をしたり、子供達を入浴させたりするのは大変だよ。」
「担任の先生も、入学式だけしてから、新型コロナウイルスで授業ができなかったし、学校が再開してもすぐ授業はできないと思うよ。色々クラスの決め事もあるし。それが終わってから授業をすると思うよ」
次男は小学校4年生の三学期から不登校になり、1年の入院生活も入れ三年間は勉強ができる状態ではありませんでした。
病院を退院して、支援学校の中学部2年生から登校できるようになりましたが、当初は週に一日登校できれば良く。一日の授業も一時間のみからスタートしました。
学校にいけるようになる事から少しづつ始めていったのです。
次に次男は、どのように勉強をすれば良いかと質問をしました。
私「小学校からの算数や漢字のドリルとかはどう?」
次男「ドリルはたくさんやったから、他にはないの?」
私「勉強の動画をパソコンでみたりするのはどう?」
次男「施設にはパソコン無いし、家に戻った時やってみる。俺は働くことができるのかな?」
次男はとても不安な顔をしていました。
以前から、勉強をしていないので、自分は皆と比べて遅れているという不安が強かったのでした。
「まだ卒業までは三年もあるし、焦らなくても大丈夫。学校の勉強も大事だけども漫画でも良いから本を読むことはとても大切だと思うよ。」
「どんな本でも、漢字の読み方、言葉の使い方を学べぶ事ができるし色々な知識も覚えることができるし。」
次男は納得したかは分かりませんが、「勉強がしたい」なんていう言葉を聞くことができ、とてもうれしく思いました。